アダルトVR交流会に行った話
先日、アダルトVRフェスタに行ってきたというブログを書いた。
この記事はインターネットの風に乗り鳥と共に海を渡り海外にも流れた。テック系のメディアやVRメディア、redditという海外の2ちゃんみたいなサイトにも流れてやべぇなっつって。
ちなみに海外では「VRフェスタが開催されたが人が来すぎて中止になった」といったようなタイトルが、「Because many people come」的なところのcomeが日本語で言う「イク=絶頂を迎える」にあたるので、「たくさんの人がイッたため中止になった」とも取れるところがウケたようだ。twitterを眺めていると「Best title ever!!」みたいなツイートもあったので日本で言う「スレタイワロスwww」的なかんじもあるのだろう。
閑話休題。
あれから1ヶ月。
アダルトVR交流会という会合が開かれると聞いた。
アダルトVRフェスタの原点「アダルトVRの会」を中心とした交流会が開催決定!
-アダルトVRについて語り合いたい-
そんなあなたを歓迎いたします。
アダルトVRコンテンツのクリエイターの方はもちろん
アダルトVR自体に興味があるという個人・企業の方のご参加をお待ちしております。
パーティー形式でアダルトVRの未来について語り合おう!
当日は「食べ放題」「飲み放題」「おっぱい揉み放題(Jカップ)」付き!
つまりはファンミーティングみたいなものだろう。
聞くと友人二人も行くとのことで、連休で暇ということもあり行くしか無い。
ということで当日の様子とそこで感じた課題や展開を記したい。
なお、「無駄に序文が長くてウザい」「長くて読む気が無くなる」「ウザい」みたいな感想をいただくので今回はサクサク進もう。
ただし本文は長い。
アダルトVR交流会
一筋縄ではないかない道のり
7月16日。池袋。
雨は降ってないけれども、どんよりとした雲が広がる梅雨空。
池袋という街に行くこともなかなか無いので散歩してたら黒ギャルがいたり路上でコスプレイヤーの撮影をしていたりなかなかタフな街だ。
交流会の場所はとらのあなB館8階のイベントスペースだ。
時間となりいざビルに向かうと入り口に紙が貼り出されている。
「VR交流会参加者は階段で8階まで上がってください」
洗礼である。早くも我々は試されている。
何事も目的に至るためには試練が待ち受ける。
悟空はかつて界王星に向かうために果てしない道のりである蛇の道を通った。
キン肉マン達はかつてキン肉マンフェニックスが用意した飛車角の迷宮をくぐり抜け決勝戦に挑んだ。
そして我々の目の前には8階までの階段がある。これは我々に与えられた試練である。
「中途半端なやつは来れないぜ?」という気概が見える。
ひぃひぃ言いながら階段を上る。道中、力尽きリタイアした者達を追い越していく。踊り場に転がるかつての仲間達。中には絶命した者もいるだろう。過酷な試練だ。
8階のイベントスペースに上がると試練を乗り越えた者達が集っていた。
あるいは傷だらけで、あるいは涼しい顔をして。
「へぇ、あんたも来れたのかい」
「へへっ、なかなかタフだったな!」
「・・・(涼しい顔、たぶん後の敵キャラ)」
そういう声が聴こえた気がする。
テーブルには料理やお酒が並ぶ。
時間になり主催の挨拶と乾杯。エビスなどの良いビールにありつく。宴は始まった。
交流会
とはいえ交流会である。
事前の説明にもあったように特に展示や催し物というものはなく、参加者達でお話するというのがメインだ。
ちらちら話すと広告関係の方や出版関係の方、webクリエイティブの方やアダルトグッズのメーカー、ガジェットヲタの方など様々な方がいらっしゃった。 名刺が飛び交っていてガチな交流会だ。
のほほんとおしゃべりなんかしていたら、一部VR機器を持ってきた方がいて見せてもらった。
見せてもらったのはもちろんアダルトVRである。
アダルトVRについて
アダルトVRはその利用については完全に実用段階に入っている。
黎明期でもなんでもなくもう実用段階である。はてなに怒られるかもしれないのでリンクは貼らないけれども「アダルト VR」なんかで検索すると月額制のサイトが出てくる。
そして何よりもその体験はテレビやPCのモニタで見るものとは一線を画している。
その違いが何かというとやはり臨場感、距離感に集約されるだろう。
たとえばおれが見させてもらったものを解説すると、
キャバクラでの1シーン
場所はキャバクラである。
向かいのソファに女の子たちが5,6人座っていて楽しそうに話している。その中の女の子の一人があろうことか持っているポッキーを口にくわえさせてくる。そしてそのポッキーを女の子が食べる、いわゆるポッキーゲームだ。
この臨場感がハンパない。やはりコンテンツ自体がVR用に作られている。他のモニタを想定したものとは異なる。
そしてその距離感、および実際の距離、見る範囲の選択肢が体験には深く関わってくる。
たとえばポッキーゲームを画面で表現するならば
こうだろう。
しかしVRコンテンツであれば
こうだ。
これがまず"距離感"となる.そしてあるいは同じような表現をしているモニタ用AVもあるだろう。
そこで第二の要素となる"実際の距離"となる。
VRのヘッドセットで見る画面はほぼゼロ距離での体験となる。一方モニタを通したAVではやはり数十センチ、あるいはリビングのソファに座って見る人なら対面にあるテレビまで数メートルは開いてしまうだろう。
その差はやはり大きい。その世界に没入できるかどうかが大きな体験差だ。
そして最後に"見る範囲の選択肢"。
右を見ても左を見ても良いのである。ポッキーゲームのVRでポッキーゲームに参加する必要が無いのである。
映像は360°に広がっている(補足:物による。後ろ側は真っ暗なものもあるけれども、少なくとも180°ぐらいは広がってそう)
たとえば顔を近づけてくる女の子は無視してソファ左側に座っている女の子を見ていてもよいのだ。
この選択肢の多さはやはり強いところになるだろう。
生活のワンシーンVR
次に叙情溢れるコンテンツを見せてもらった。あるいはおれが叙情溢れると解釈しているだけなのかもしれない。
これはアダルトVRではなくイメージビデオ的なものだ。
場所は明るい部屋。正面にはキッチンがありおれは床に座っている。
そこにセクシーな女の子が表れる。どうやら朝食を作ってくれている。
振り返った女の子は浅いお皿に牛乳を入れ、それを床、目の前においてくれる。
どうだろうか。あまりにも純文学ではないだろうか。
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彼女は浅いお皿に牛乳を入れ、床に置いた。
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こんなワンシーンだ。どうだろう。なぜコップではなくお皿なのか。なぜお皿は浅いのか。なぜ床に置いたのか。純文学の可視化である。
この一文でおれと彼女の人間関係が表現されているのではないだろうか。その関係性はストーリーが進まないとはっきりしないけれども、興味をそそる導入にはなっているだろう。
あるいはこの解釈はどうだろう。
おれは猫だ。ある朝目が覚めるとおれは猫になっていた。ザムザもびっくりである。
たとえば君が好きな女の子やアイドルなどが猫を飼っているとしよう。その猫になりたいと思ったことはないだろうか。おれは無い。
まぁなりたいと思ったことにしよう。
ある朝、目が覚めるとおれは猫になっていた。起きた彼女が部屋に入ってくる。そして、
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彼女は浅いお皿に牛乳を入れ、床に置いた。
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これもストーリーがあり良さがありそうだ。
あるいはそのようなストーリーのAVもあるだろう。しかしやはり先述の距離感、臨場感、実際の距離、選択肢を鑑みるとVRの体験は素晴らしい。
乱交もの
これはもうただただすごい。女の子が5,6人いてくんずほぐれつである。
やはり視野にどれぐらいの情報が入るかというのは大きく、下を向くと下が見えて、上を向くと上が見えて、右を向くと右側の女の子がいて、そのすべてを一気に見ることができないのが良さである。つまりは視野が実際の視野とリンクしている。
一点気になるところがあるとするならば、下を向くと寝そべっている自分の体が見えるのだけれども、それは男優の体であり、結構ムキムキな体をしていたので自分との差に絶望する可能性があるだろう。ここは課題であり、AR(拡張現実)の領域にも入ってくる。
VRの課題
VRの課題について考えてみよう。
ことアダルトVRに関してコンテンツは実用段階に入っているとはいえ、やはり普及には時間がかかるだろう。
そしてその普及にはハード面とソフト面、技術面でそれぞれ考える必要がある。
ハードについて
VR機器は大きく分けると2つに分けられるだろう。それはスマホを利用するものと、ハイエンドなVR用機器の2つだ。
スマホを利用するものはたとえば
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このようなスマホをセットするタイプのゴーグル型ヘッドセットだ。
アプリを起動したスマホをセットし、アプリ内で再生した動画を見るという形になるだろう。
スマホ自体はiOS、Androidに分かれてたくさんの人が持っているので、身近さはあり普及のしやすさは大きいだろう。
課題としては操作性、どのように操作するのかは検討の余地がある。
たとえば昨日見せてもらったゴーグル型のヘッドセットでは、画面内に焦点があり、それを目的のものに併せて視線を動かし、機器右側にあるタップエリアをタップすることで実行するようなものだ。wiiのリモコン型コントローラーで焦点を併せてボタンを押すようなものだ。
あるいは別途コントローラーでの操作となるだろう。
また、もう一つの課題としてはスペックや処理能力となるだろう。
動画を流すだけであれば、実行だけできればよいのでタップ操作だけで事足りる。そしてそれが先述の実用段階には入っているという点だ。
しかしこの先インタラクティブなコンテンツとなると、ハード内で様々な処理が必要となるためスムーズに処理できるようなコンテンツかどうかが大きく関わってくるだろう。
一方ハイエンド機器というのはつまりはオキュラスリフトやPlayStation®VR、STAR VRといったようなものだ。
オキュラスリフトやSTAR VRはPCと接続して操作する。コントローラーも付属していてゲームなど処理にスペックが必要となるものではハイエンドになるだろう。
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しかし超絶高い。もっと普及して安くならないかぎりはガジェヲタに留まるだろう。
他にもPlayStation®VR。こちらはPS4に接続してPS4のタイトルをVRでプレイできるものだ。
やはりこちらも高い。さらにはPS4が必要である。かつてのハード競争と同じくコンテンツが鍵になってくるだろう。
手軽さ・コストではスマホセット型に優位があり、スペック面ではハイエンドとなる。
普及には順番があるだろう。そして普及にはコンテンツが伴う。
ハイエンドが普及するきっかけになるのはおそらくゲームであり、ゲームがめちゃんこおもしろく、プレイするには機器が必要、という順番だろう。一方スマホ型の普及のキーになるのはアダルトではないだろうか。
ソフトについて
アダルトVRに関しては通常のAVよりもコンテンツの制作にはコストがかかるだろう。
スマホ機器用では現状動画作成までとなるので360°カメラを使ったり、GoProを並べて後でつなぎ合わせるような作り方をするようだ。
コストがかかる分単価が高くなり、手を出せるかどうかが分かれる。メーカーもペイできるぐらいに売れる必要があるのでマーケティング課題があるだろう。
また、配信する仕組みも必要だ。スマホ型であればもう既に配信するサイトもあるので導入は軽いだろう。
ハイエンドにおけるアダルトコンテンツについては、オキュラスにはすでに大手アダルトサイトが参入している。そのクオリティはわからないけれども普及する可能性があるかもしれない。
一方PlayStationVRについてはなかなか導入に踏み切れないのではないだろうか。ここは見守ろう。
技術面
昨日見たアダルトVRは現状動画だ。
インタラクティブではなく、上下左右に広がる動画にすぎない。いや、それでも十分おもしろかったんだけど。
でもしかしこれから先、さらなる発展を見据えるならば、バーチャルリアリティを呼称するのであれば、インタラクティブ、つまりは双方向での処理が必要だろう。つまりはこっちの何かしらのアクションに対して、画面の向こう側からアクションが返ってくる。
一方通行の動画ではなく、双方向のコンテンツになる必要が出てくるだろう。
この面ではゲームの技術がが強そうだ。さらには処理するスペックも求められるだろう。
また、その際には「どのように操作するのか」というハードならびにソフト面の課題も出てくるだろう。それはコントローラーでの操作なのか、もしくはAR要素が入ってきてカメラに映る自分の手を操作するのか、どのように操作ができるのか、その世界に入り込んでいる体験を阻害せずに操作させる必要があるだろう。
ビジネスシーンでのVR活用方法
さて最後にビジネスでの活用である。
VRコンテンツというとアニメの世界に入り込むような形でアトラクションが催されているものがあるだろう。
イベント会場やアトラクション会場でVR機器を設置し、ユーザーが興じる。コンテンツ制作に加えて機器の台数も確保する必要があり、さらには一人何分といったかんじでかかる時間もある。コンテンツの開発、機器、会場、スタッフにも結構な費用がかかりそうなので、短期のイベントやキャンペーンには向かないだろう。コンテンツ自体を売る形で、アトラクションといったような、長期でずっと使えるようなコンテンツで、ペイしてく形にするしかないのではないだろうか。
あるいは機器が普及した後なら配信するという形で利用することはできそうだ。そうなるとまた利用する幅が出てくるだろう。ミュージックビデオなんかも相性がよいだろう。いずれにせよ機器の普及が第一となる。
今々の動画配信型のアダルトVRをビジネス利用するようであれば、個室ビデオに導入とかすれば単価を上げても需要はめちゃんこありそうである。たぶん全然ペイできそう。
また、たとえば大塚の2000円ピンサロなんかはどうだろう。
大塚の2000円ピンサロというと大変アレでアレなのだけれども、客はVR機器をセットしてその世界に入り込むことで目の前に広がる世界に集中できるだろう。あるいは嬢に関しては顔バレのリスクも無い。もちろん流れている映像に併せる必要もあるため講習を開く必要や、もしくは席にモニタを設置し、その動きに併せるといったソリューションもあるだろう。しかしそのサービスは他とは一線を画するで既存の2000円から5000円ぐらいにアップしても全然あるのではないだろうか。三方良しになりそう。
まとめ
アダルトVRは既に実用段階に入っている。がしかし現状は動画配信にとどまっている。
手段の目的化は初期は避けられないかもしれないけれどもやはりVRの普及が必要である。
マーケティング界の格言に「ドリルを買いに来た人が欲しいのはドリルではなく穴である」というものがある。
ことアダルトVRにはめるならば、ユーザーはVRがほしいのではなく抜きどころがほしいのである。
どのように抜きどころを提供するのかを念頭に更なる発展を祈るばかりだ。
【後記】
アダルトVRエキスポは抽選で落ちたよ!
ぎゃっ、アダルトVRエキスポの抽選落ちてる
— くれ えいぞう (@Eizo0000) August 19, 2016