9回裏最後のバッターの最後の一球を、客席に向かって投げてそのままマウンドからピッチャーが消えてくようなブログ

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ジンクスとデータの間で 〜あるいはおれがスプリンターズSを外すに至った経緯〜

10月2日の日曜日、競馬のG1レースが開幕した。

スプリンターズステークスという短距離のチャンピオンを決めるレースだ。

おれはただ意気込む。なぜか。幸先良い秋を迎えるためだ。終わりよければすべて良しというが、やはりスタートダッシュもその後の流れを作るうえで大事だろう。

 

 

さて、ここでまず君に問いたいのは君が競馬をするかどうかだ。

もしかすると競馬をしない君は、競馬に対しておっさんのイメージを持っているかもしれない。

汚いおっさんが昼から酒を飲み管を巻いて罵詈雑言を喚き散らすオールドタイプのイメージを持つかもしれないけれども、今や競馬場はキレイに改装されており、大きくキレイな公園というイメージを持つとよいだろう。もちろんレースが行われており、馬場の近くまで出るとその足音が聴こえる。最後の直線では観客席がざわつきわっとした歓声があがったりする。実際に競馬場に行くとカップルがデートしていたりして、ギャルが「はーん!迫力がごいす〜〜〜〜♪」などと言っていたりする。

つまりは競馬、あるいは競馬場というのは老若男女問わずは楽しめる場所である。しかし場外馬券場に関してはその限りではなく、もしかすると君のイメージが正しいかもしれない。

 

話が逸れたけれどもスプリンターズステークスだ。

競馬というのはやはり当てたい。綺麗事でもなんでもなく競馬はギャンブルである。ギャンブル以外の何物でもない。

お金を賭けて、当たれば増えて返ってくる。お金を失うよりは増やしたいのであり、やはり馬券を買う以上は当てたい。

しかしそれは世界に対する問いである。おれはこう考えた。そして果たして世界よ、君はどう答える。

 

ということで今回のスプリンターズステークスの出馬表がこれだ。

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G1レースというのはつまりは他のレースを勝ち抜いた強い馬達が出るレースだ。優勝賞金が高い。

今回のレースにはその中でもビッグアーサーという春の短距離チャンピオンであり現役最強の短距離馬も出走しており人気が集中していた。

競馬というのはざっくり言うと、参加者が投票したお金が当たった人に分配される。つまりは外れた人が賭けたお金が当たった人に分配される仕組みだ。

ということはたくさんの人が投票した馬が来ると、当たった人が多く外れた人が少なくなるため、一人あたりの分配額が低くなる。これがオッズというものである。今回、ビッグアーサーは圧倒的な一番人気だった。たくさんの人が「まぁビッグアーサーは来るだろう」と予想したというわけだ。

 

では先にスプリンターズステークスの結果から話すとしよう。

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スプリンターズステークスの回顧

ビッグアーサーは来なかった。ジョッキーである福永が騎乗ミスをしたところが大きかった。

そう書くと君は、おれがビッグアーサーを買っており外したと思うのだろう。答えは否である。ビッグアーサーは切った。人気を集めたビッグアーサーが負けたということは、つまりはオッズが高くつくということでる。

では馬券が当たったのかというとそれもまた否である。馬券も外した。

 

それではおれがどのように馬券を買い、そして外すに至ったかを綴る。秋の曇り空はどんよりとしている。

 

たとえば前回買った馬が今回も勝つかといったらそうでもないのである。予想というのはつまりは買う理由を探す行為であり、そのキーとなるのは馬の絶対的な力だけではない。その他にも体調であったり騎手であったりゲートの順番であったりレースの展開であったり、様々な要素が馬の当日を左右する。

 

さて、今回、発走の2時間前にこのようにツイートしている。

 

 

 結果をそれぞれ書くと、

◎レッドファルクス:1着
ソルヴェイグ:3着
シュウジ:4着
ミッキーアイル:2着
×ブランボヌール:11着

 

競馬というのは1着を当てたり1〜3着を順番で当てたり、買い方がいろいろある。それでいうと、今回の予想はなかなか完璧に近い。さらにこのツイートを振り返ってみよう。

 

ここで上記ツイートから3歳馬を外してみよう。

◎レッドファルクス:1着
ソルヴェイグ:3着
シュウジ:4着
ミッキーアイル:2着
×ブランボヌール:11着

 

完璧ではないか。はっきり行ってパーペキである。1,2着を当てる馬券にしていれば45倍も着く馬券だ。3000円かければ13万である。 しかしここでおれ、不幸に襲われて。

 

凱旋門賞について

この話をする前に凱旋門賞の話をしないといけない。

凱旋門賞というのはフランスで行われる世界最大級のレースの一つであり、ヨーロッパを代表する格式高いレースだ。つまりは世界中から超絶強い馬が集まり一番を決めようぜ、というものである。

 

今回、日本からふたつが凱旋門賞にチャレンジした。まずはレースに参戦するマカヒキ日本ダービーを勝ち、日本最強の3歳馬として世界の強豪達に挑んだ。そしてもう一つはJRAだ。JRA日本中央競馬会の略である。ではJRAが何にチャレンジしたのかというと、凱旋門賞の馬券を日本でも買えるようにしたのだ。今まで公式に海外のレースを買うことはできず、あるいは現地で買ったり、あるいはオンラインのブックメーカーで買うしかなかった。しかし今回、日本のレースと同様に日本独自の投票でレースを買うことができるようになったのだ。

 

さて、これが今回、おれを襲った不幸である。では不幸とは何か。

凱旋門賞はインターネットからの投票のみ受け付けたのだ。つまりは場外馬券場などで馬券として発売することはせず、インターネット投票の会員に向けてのみ解放したのだ。

 

マカヒキが勝ったら勝ったら喜ばしい。日本独自のオッズなのでマカヒキに人気が集まるのも見えている。ここはマカヒキを外してオッズがおいしいのを狙うのが正解である。ここはどうしても買いたい。ということでネット投票の会員になった。

 

今までなぜネット投票の会員になっていないかというと、制御がきかず破産が近づく気がするからではあったけれども凱旋門賞のおいしいオッズには変えられない。GOである。会員登録を済ませて凱旋門賞の予想に勤しんだ。ついでに月額800円のJRAのデータサービス、JRA-VANにも入会し万全の体制でレースに臨んだ。

 

予想の変遷について

さて、ネット投票会員になったことと馬券を外したことにどのような因果があるか。大ありなのである。

今まででメインレースのみを買う場合はふらっと新宿に出て、場外馬券場で馬券を購入した後にはコーヒーでも飲みながら本読んだりしていた。つまりは場外馬券場に長居することはなく、サクッと買ってサクッと移動していた。

もしもネット投票の会員でなければ、最初の予想どおり買っていただろう。

しかしネット投票は直前まで予想をひっぱることができるのである。予想を決める要素として馬体重というものがあり、体が重たいと動きが鈍いし、細いとフルパフォーマンスを出せないのは人も同じだろう。その馬体重の発表を待ってしまったのだ。

 

 

その結果がこれだ。

 

少しのきっかけで運命が交錯する。原因と結果にズレが生じる。おれはただ、悲しい。

ではこの馬券に至った経緯を記す。

大きくは、「なぜ最強馬であるビッグアーサーを外したのか」「なぜ予想を変えたか」に分かれるだろう。

 

なぜビッグアーサーを外したのか

ビッグアーサーを外した理由はサクラバクシンオーの子どもだから、そして1400を連帯したことが無いから、の二点である。

これはジンクス寄りである。データとジンクスの狭間は何だろう。

 

スプリンターズステークスというのは中山競馬場の1200メートルで行われる。このコースではサクラバクシンオー産駒は優秀な成績を収めている。このようなデータはネット上に転がっており、先述のJRA-VANでも調べることができる。むしろJRA-VANというサービスはこのようなデータにアクセスしやすいデザインが施されたサービスといって良いだろう。しかしこのサクラバクシンオー産駒というのはなぜか同じコースのスプリンターズステークスは勝ったことが無いのだ。今まで24回参戦して、3着1回が最高であり、その他の23回は4着以下に甘んじている。これはあるいはジンクスでありオカルトでもある。同じコースで全然ダメであれば、それに因果、理由をつけることができデータと呼んでもよいのかもしれない。しかし他のレースでは成績がよいのに、なぜかスプリンターズステークスは勝てない。これはあるいは外す理由になるだろう。

 

そしてもう一つ、スプリンターズステークスを好走する条件として、このレースより200メートル長い1400メートルでの連帯経験が必要だった。これはあるいは1400まで走れるスタミナを要するというデータになる。しかしビッグアーサーにその経験が無かった。

 

まぁ人気かぶりすぎて馬券的においしくないからとか、他にもあるんだけど大きくはこの二点でビッグアーサーは外した。

 

なぜ予想を変えたのか

さて、予想を変えた理由である。馬体重を見て予想を変えた。これは完全にジンクスに乗ってしまった。近5年、3着以内の馬は全て前走と同じ体重もしくはマイナス体重というものであった。それより前を見ると全然プラス体重でも来てるんだけど、ここ5年の傾向としてズンと響いてしまった。その結果、レッドファルクスを外すという暴挙に出てしまった。CBC賞から中6ヶ月開いたレース間隔も気になった。気になるというのはつまりはもう直感の話でありデータでもない。

 

まだまだあるぞ、オカルティック

それでいうとダンスディレクターを買ったのはオカルティックでいうとミスである。近10年、4番人気で馬券に絡んだ馬はいないのである。このデータに乗るならば買う必要はなかった。しかしレッドファルクスを外してしまった以上、もう買う馬がいなかったのである。

 

ジンクスとデータの狭間で揺れて

さてここで君は「そんな訳わからんデータなんか信じんなし」というおれにツバを吐きかけるかもしれない。しかしデータというのは存在する。それはたとえばゲート順であれば、コースによって有利不利という話しになるので原因としても納得ができるものであり、たとえばどれどれの馬の子は瞬発力が強いから、このコースでは強い傾向にある、なんかも理由が伴いデータとして扱うことができるだろう。

 

しかし、たとえば先述の4番人気は来ない、というのはどうだろう。納得行く理由が見つからないだろう。人気順というのはその時々の条件で変化する水物であり、科学的な根拠がゼロだ。しかし実際に存在する。今回も4番人気のダンスディレクターは負けている。4番人気というと、人気を集めており、実力が評価されているということである。それでもなお負ける。これはジンクスだろうか。あるいはデータたりうるだろうか。

 

競馬というのはどれを信じるかである。あるいは馬の力であったり、ジョッキーの力であったり、データであったり、ジンクスであったり。ジンクスとデータの狭間でおれは揺れるのであり、ジンクスがデータとなる時を夢見て、馬券を買い、そして外すのである。

 

ゲーテは言った。「自分自身を信じてみるだけでいい。きっと、生きる道が見えてくる。」

 

おれは自分を信じて凱旋門賞も外した。

君は、君が信じたいものを信じればいいさ。