9回裏最後のバッターの最後の一球を、客席に向かって投げてそのままマウンドからピッチャーが消えてくようなブログ

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【ネタバレなしの感想】『この世界の片隅に』は『エレファント』が好きな人にぴったりな気がするという話

この世界の片隅に』という映画が話題でありネット上でも絶賛、あるいは一部ネガな批評もあるけれども、まぁなんか話題だなっつって。公開規模とか戦争ものの話しだとかのん(元・能年玲奈)の話もあり君の名はとかシン・ゴジラとかとはちょっと異質な話題のなり方になっているのでどんなかんじかなとテアトル新宿で見てきたわけで。たった今。あれはああだ、とかこれはこうだ、とか、考察みたいなことをする気は特に無し。

 

バック・トゥ・ザ・フューチャーを見てないことで友人にひとでなし扱いされるぐらいには映画にあかるいことがないのは前置いておきたいけれども、先ほど見てきてそのとてもあたたかく、とても楽しく、とても鮮やかで、とても悲しく、とても普通で、とても希望に満ちた本作は最高である。映画にあかるくないおれの感想である。

 

ということで『この世界の片隅に』を見た。そして頭をよぎったのはガス・ヴァン・サント監督の『エレファント』。このエレファントという映画はおれが一番好きな映画のひとつであり、「一番好きな映画のひとつ」という日本語が変なところはさておいて、つまりは「one of the best」みたいなニュアンス。どっちも配給が東京テアトル

 

 

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日常の話。

 

両映画の共通点は日常と非日常を描いた映画であり、その比重の大半が日常にある。たとえばエレファントの場合は実際にあったコロンバイン高校銃乱射事件をテーマとしており、同様のテーマを扱ったドキュメンタリー映画としてはマイケル・ムーア監督の「ボウリング・フォー・コロンバイン」がある。いつものような1日だった高校が凄惨な事件の現場、非日常になるんだけど、描いたのは事件ではなく日常、いつものような1日をあまりにも普通に、この普通にというのは魅力的とかそういう話ではなく、いつもと同じような1日をそのままいつもと同じように描いたっていうところ。そういう意味での普通。ありのまま、ってかんじかしら。

 

なんとなくニュアンスでいうと、たとえば紹介文が「いつもと同じような日に」→「その事件が起こった」ではなく、「その事件が起こったのは」→「いつもと同じような日だった」みたいな。といったぐらいに日常を描いている。

 

そして『この世界の片隅に』。戦争の話なのでエレファントとは時間の流れが異なる。日常がだんだん戦争という非日常に侵食されていくっていう期間の違いはあるけれども、その中で日常を重点的に描いている。あくまでどのような日常だったかが描かれている。ここにはイデオロギーは無いと感じている。なぜなら日常の話なのだから。見る人はおそらく8月6日、8月15日に何が起きるかを知っている(広島の話なので8月9日は無し)ので、そこをどう描くのかしら、みたいなハラハラ感はあるかなっていうかんじ。

 

日常をそのままに描いた話で最高。 そういう映画がおれは好きよ、という話。

 

 

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