友人の展示を見にヒカリエ8に行ってきた話
たとえば君が女子大生だとしよう。それはギャルのようなチャラチャラしたような明るい髪ではなく黒髪、もしくはちょっとだけ茶色に染めたかんじだろうか。染めたと言われてもなかなかわかりづらく、月曜日に当てずっぽうで「髪切った?」と聞くと大喜びで「わかる??ちょっと切ったぐらいだけど染めたんだよね♪」と変化に気づいてくれたことに喜ぶようなかんじかもしれない。あるいは過激な方ではなく静かなかんじの美大生だろうか。
さて君がそのような女子大生としよう。休みの日に何をするだろう。
夜は女子会の約束があるとして、間違いなく昼間はギャラリーに行く。それは例えば銀座であったり、丸の内であったり、原宿表参道かもしれない。
ギャラリーが点在するような場所に趣き、ふんふんと頷きながら、わあわあと思いながら、ふーむ考えさせられるとか感じながら、アート作品を観賞するのではないだろうか。
つまりはギャラリーは休みの日一部を費やすイベントであり、無料が多く気軽にふらっと行ける。休みの日にギャラリーで過ごすというのも時間の有効活用だろう。
かくいうおれはほとんど行かない。なぜか。わからないからだ。
たとえば絵を見ても「きれいでした」ぐらいの感想しか持たないのであり、それは写真でも同じくである。
美術館や大きななんとか展なんかに行くと往々にして横に解説がついていたりする。「この作品は◯◯の時代に誰彼がこうこうこういったものを云々してかように表現したものです。この作風はゴニョゴニョbrabrabrabra」みたいな解説だ。そういう解説をしてくれるとこちらもありがたく、「きれいでした」以上に「なるほど。たしかにこれはふむふむ、ということは同時代、もしくは後世の誰彼のこれも、うむうむ、なるほどね、そこでそう繋がりますか。はーん。おや?ということはさてはこの表現は誰彼のあのアレがこうしてナニコラタココラ。まぁ端的に言うとキレイでした」まで考えを広げることができて助かる。
しかしギャラリーではそういった解説書きがあるのは少ないのではないだろうか。
説明は在廊しているクリエイターによってなされることがあるけれども、在廊していないときには自分で解釈するしかないし、そもそも意味なんか無いのかもしれないのである。勝手に解釈してくれるパターンだ。なんでも無いものをポンと置いておくと勝手に「ふーむ、考えさせられる」とか、「深い。」とか頭が空っぽのようなコメントのみが残る状態だ。
アートとデザインについて
アートというのは主体がそのアート作品にあり、見る人がついていく必要がある。ここがデザインとは異なる点だ。
アートは主体がアート作品にあり、デザインは主体が見る方にある。アートは主体が作り手の方にあり、デザインは主体が受け手にある。
たとえば美術館やなんとか展ではその空間や設営、導線はデザインであり、アート作品をどのような順番で、どのような解説を加え、どのようなストーリーで展示していくかはデザイン作業である。それを見る人がどのようにそのアート作品を受け取っていくのかを考えるのがデザインである。
それは大きな展示やあらゆるアートを置いている美術館でなされる技であって、小さなギャラリーでそこまでのデザイン作業をするのは難しいのではないだろうか。あるいはデザイン志向のあるアーティストとそうではないアーティストで変わってくるだろう。
ヒカリエ8に行った話
友人がヒカリエ8階にあるクリエイティブスペースで展示を行っていたので遊びに行った。
ヒカリエの8階というと「8 (エイト)」というクリエイティブスペースであり、説明ページを見ても「うるせぇこのやろう」っていう感想しか出ないんだけど、つまりはそういう展示なんかが行われている。
友人はcubeというスペースで「ART without BORDERS アートウィズアウトボーダーズ」という展示を行っていた。
アメリカ人のJ.James Forsythe、日本で生まれNYで教育を受けたSEI SHIMURA、日本で育ちで欧米(現在、ベルリン)を拠点にするYUTO YAMADA それぞれのアートワークが刺激し合うエキサイティングなアートショーです。8/CUBE 1.2.3 それぞれの展示と、CUBE全体を1つの作品としてもご高覧下さい。
アメリカンサブカルチャー(ストリート系)が活動のきっかけとなっている3名のアーティストによる刺激的なアートがコラボレート。グラフィティから進化しコンテンポラリー・アートとして発表される作品をご高覧ください。
友人とはYUTO YAMADAであり、今はベルリンでデザインやアート活動をしている。
彼とはかつて10年以上前にニューヨークで出会って一緒に遊んだりしていて、おれが東京に出てきて遊んだりしていたけど何年か前にドイツに飛んだ。なかなかぶっ飛んでいる。当時彼はグラフィティを描いていて、ブルックリンにあるグラフィティのメッカだった5 Pointzなんかでも描いていたので、ついていって作業を眺めたりしていたのも思い出だ。
今回はベルリンと東京の写真を展示している。ベルリンの風景を写した写真はひと目見た時に「絵?」って聞いてしまった。精密な絵みたいな写真だった。作品は販売されていたんだけど、一点物はほとんど売り切れていて、ひとつだけ残っていて「一つだけ残ってもアレだしせっかくだからどなたか買ってくれたらうれしい」って言ってた。
残念ながらこの展示は次の月曜日までだ。水曜日にはドイツに帰ると言っていた。土日休みならば明日しかチャンスは無いだろう。渋谷に出やすいようであれば、明日暇であれば、銀座のギャラリーでも行こうかしらんと思っていたならば、渋谷ヒカリエに行って8階に行ってみると良いだろう。
海を越えて海外で活動している友人を見ると、がんばんなきゃ、って思ってしまう。
きれいでした。