9回裏最後のバッターの最後の一球を、客席に向かって投げてそのままマウンドからピッチャーが消えてくようなブログ

平日は1000〜2000文字ぐらい、土日は4000文字ぐらい書きますがどちらも端的に言うと20文字くらいに収まるブログです。

『ビタミンF』 重松清:感想

たとえば今日1月17日はおれの誕生日であって、あれ?今年で34だっけ、35だっけ、34であってるよね?となるぐらいに34歳というのは曖昧である。たとえば去年の誕生日は何をしていたかというとしっかりとブログに残っており、やはり去年33歳になったので今年は34で間違いないことを指差し確認する。

 

 

20to4000.hatenablog.com

 

昨年の誕生日も翌日にクソブログを書いていたようで、では今年は何を書くかというとすっかり読書ブログと化してしまった昨今、ちょうど読了した本があるのでやはりそのことを書かざるをえない。というか書くものがない。

 

読んだのは重松清の『ビタミンF』。

 

ビタミンF (新潮文庫)

ビタミンF (新潮文庫)

 

 

重松清というと今まで『疾走』ぐらいしか読んだことがないのだけれど、その内容は結構エログロバイオレンスで絶望的、他の重松作品とはちょい違うというのは通説であるけれども『疾走』は『疾走』でまたおもしろいので読んでみるのもよいかもしれない。

 

疾走 上 (角川文庫)

疾走 上 (角川文庫)

 
疾走 下 (角川文庫)

疾走 下 (角川文庫)

 

 

 

で、『ビタミンF』である。

本作は7篇の短編からなる小説であって、それぞれのタイトルが「ゲンコツ」「はずれくじ」「パンドラ」「セッちゃん」「なぎさホテルにて」「かさぶたまぶた」「母帰る」。タイトルだけでは当然見えないけれども、共通するのは全て主人公は30代後半〜40代の男性で家族、あるいは家庭の話である。

 

さて、ここで家族、あるいは家庭と書いたのであらためて家族と家庭の意味を確認しておかないといけない。三省堂の辞書によると、家族とは「親族関係にあり,共に住む集団」とある。親族関係ってじゃあなんだよ、いろんな形の家族があるんじゃないか、と考えるとややこしくなるので割愛するけれども、まぁ集団のことである。一方家庭とは「家族(‐がともに生活する場)」とある。後者について括弧書きでなんか逃げんなし、と思うけれども括弧で補足するということはつまりはどうしても外せない要素であるということであって「場」である。

 

家族は単位で家庭は場所、空間、つまりは生活である。本作は全編を通して基本的に家庭について書かれたものであるけれども、「家族、あるいは家庭」の話と書いたのは、最後の「母帰る」については主人公で妻子ある男性とその両親、つまりはおじいちゃんおばあちゃんの話ではあるけれども、それぞれの家庭と家族を独立した単位として分離して考え、家族という単位が重なり合う、円がふたつのベン図みたいなものと捉えそれぞれ個別の家族、家庭、交わる家族と考えて「家族、あるいは家庭」とした。

 

んなことはどうでもいいのであって、本作の解説をもうちょい。主人公は先述したように全編を通して30代後半〜40代の男性、それぞれ結婚しており家庭を持っている。子どもはいたりいなかったり。家庭の中で妻に対する心情や、あるいは子どもに対する接し方、葛藤であったり、その家庭の中で起きる出来事や心情を描写している。ほっこりエンドやあるいは切ないエンドであったり、それぞれによって違うけれども、その主人公の年代の人が読むとあるいはこの日本のどこかにそういう家庭があるというのがリアルに想像できるようなものではないだろうか。該当する年で家庭を持つ人にぜひ読んでみてもらいたい。

 

っていうか、すわその主人公の年代ってほぼワシの年やんけ。感嘆表現の「すわ」である。しかしおれは家庭を持っておらず、もし持っているならあるいはこんなかんじになるかもね、というのはリアルに描写されているのでパラレルワールドの世界を楽しむことができるので、あるいは独身諸氏も読んでみておもしろいかもしれない。

 

ところでおれの部屋はユニットバスである。ユニットバスなのである。トイレと浴槽が同じ空間に存在する、ただただシャワーカーテンという言い訳で区切られたユニットバスである。

 

 

新宿からほど近い場所、安さ、広さを優先したところ、最後の牙城であるユニットバスは引いた。引いたのである。譲ったのであり譲れたのである。そしてユニットバスに住まう男が家庭を持てるはずもないのである。そこで命運が決まったのである。家庭を持つ気持ちができたときには早急に引っ越しを検討しているだろう。

 

34歳というと家庭を持つものもあり、持たないものもあるだろう。そして本作『ビタミンF』の中にユニットバスの部屋に住まうものはいないだろう。あるいは家庭という意味を考えるいい年かもしれない。引っ越そう。そしてそのときはもう、ユニットバスはもうやめにして、セパレートの部屋に住むんだ。

 

 

ってことで今年は100万貯めて株にぶちこむぞ!!

 

最後に、今日に延期になった日経新春杯の予想です。

 

日経新春杯
◎ミッキーロケット
◯カフジプリンス
▲ヤマカツライデン
△シャケトラ