9回裏最後のバッターの最後の一球を、客席に向かって投げてそのままマウンドからピッチャーが消えてくようなブログ

平日は1000〜2000文字ぐらい、土日は4000文字ぐらい書きますがどちらも端的に言うと20文字くらいに収まるブログです。

せい家 My Love

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たとえばこのブログは今年の1月から書いており、厳密に言うと去年ちらっと別で書いていて、今年の1月にはてなブログに引っ越しつつリスタート。1月や2月辺りのやつを読んだらわかることだけれども、当初はスタイルの定まらないままつらつらと書いていた。半年近くたってやっとどこかイベントなんかに行ったりしたことを書くと、その主催や関係者の人はもちろん、興味のある人やちょっとそのイベントについて調べたい人なんかには喜んでいただくこともあるなっつって、見出しや本文、画像も入れながらつらつらと多少読めるような形に書きながらもアイデンティティっていうんすか?個性っていうんすか?そういうものを文章の中に偽装できたらいいなと思って。

 

 

ということでこれをスタイルと称してどんどん書いていこかしらん、と思うけれどもここでひとつ問題がある。ネタが無いということだ。つまりはブログを書くにはどこかに行く必要があり、じゃあどこか行けばいいじゃないかって話なんだけどそれがなかなか捗らない。というのはそんなしょっちゅうおもしろそうなイベントが催されているわけでもなく、それはもちろんおれのリサーチ不足でしか無いわけだけれども、たとえばどこかに行くとなるとサラリーマンであるおれ、平日夜か土日に行くしかない。週末は自由が効くけれどもたとえば先週末と土日に何をしたか、どに行ったかというと徹夜で麻雀をした、宝塚記念を買って外れたことだろう。

 

ここでおれが麻雀したことを面白く書ける力量を持っていればそれでよいかもしれない。しかしおれにその力量は無い。あるいは「麻雀とは」「麻雀の遊び方」というのをつらつらと書いて初心者用の読み物にしてもいいけれどもそれを書いたところでインターネット上には溢れているようなものだ。十全たるオリジナルにはなりえないことを書く必要も無いだろう。あるいはここで宝塚記念の予想と結果を書いて一発競馬ブログにしたらばどうだろう。予想がボカスカ当たればあるいは神として崇められるかもしれないけれどもそんなことはなく、全然外れるわけで、では逆に全然当たらない逆神として予想ができるかというとそうでもない。たまーに当たるのだ。つまりはおれを信じることにより当たることもなく、おれを信じることによりハズレを回避すことも保証できない一番タチの悪い状態だ。何よりもここまででおれが土日を通してギャンブルしかしてないというクズっぷりが出ているだけで、好青年で売っているおれとしてメリットが無いので書くことは避けたほうがよいだろう。

 

では今日は何を書くかというとラーメンの話だ。なぜか。昨日の晩ごはんでラーメンを食べたからだ。ここで君は「んなもん写真にでも撮って「ラーメン〜〜☆」みたいなコメントとともにfacebookにでもアップしてろし」と辛辣な意見を言うかもしれない。否。これはラーメンにとどまらず、ある男の上京物語だ。大阪から東京に出てきた男の愛の話だ。

 

せい家 My Love

せい家というラーメン屋さんチェーンをご存知だろうか。関東圏に住まない人には馴染みがないかもしれない。むしろ関東在住でも住んでいる地域によっては知らない人もいるだろう。なぜかというと山手線の都心や繁華街にあるのはせいぜい原宿ぐらいで、その他は住宅街にフランチャイズ展開し、店を構えているからだ。たとえば小田急線の経堂や梅ヶ丘、京王線千歳烏山や下高井戸に店舗がある。

 

「家」がつくとこから家系ラーメンを提供するお店というのは想像に容易い。しかし自分の常識が他人の常識とは限らない。横浜発祥の家系ラーメンというのは関東圏ではメジャーであり大阪に帰省した際にもちらほら見かけるのである程度広がっているのだろうけれども地方都市でのその知名度は計り知れない。これを読む君はもしかするとここまで読んだ上で「イエケイ」と読むのか「カケイ」と読むのかわからなかったのかもしれない。答えは「イエケイ」だ。つまりは家系ラーメンというジャンルのラーメンがあり、豚骨醤油ベースのスープにチャーシュー、ほうれん草、海苔がトッピングされている。その店舗はしばしば「◯◯家」という店舗名になっている。

 

ジャンルが確立しているということで、はっきり言うとどの店舗でもそのベースとなる部分に大差は無いと言ってしまってよいだろう。ここで君は「何を言ってるんだ君は、あの店舗の醤油ダレこそ至高。」「いいや、あすこの店舗は豚骨を煮だす時間が」などと言うかもしれない。shut upである。shut the fuck upである。結局は豚骨醤油だ。どこに行っても家系ラーメンは豚骨醤油だ。しかし頑なな君のために、パッと食べて違いがわかる大部分は豚骨の臭い具合と醤油の濃さ具合というのは肯定してあげよう。

 

ではおすすめの家系ラーメンはどこだろうか。というと様々な意見が寄せられるに違いない。店舗数がどれぐらいあるのかしれないけれども、そしておれが数多の家系ラーメンを食べているかというとそうでもないけれども、ここでおれは先述の「せい家」を推したい。なぜか。牛丼の吉野家がかつてうまい、やすい、はやいと標榜していた。せい家のラーメンは太麺のラーメンだから早さは及ばないけれどもそれを埋めるには余りある「うまい」。他の家系ラーメンよろしく豚骨醤油ベースのスープに太麺、チャーシュー、ほうれん草、海苔がトッピングされており申し分ない。

 

さらには「やすい」が伴う。ワンコイン。すなわち500円。

 

おれはかつて「やすい」に身を委ねた。

 

せい家 You Sweet

大学を出て大阪の会社に勤めてたけれどもなんとなく「東京で働いてみたいなぁ」と仕事を辞めてニートの状態で東京に出てきたのは今から7年ぐらい前だ。

無職ゆえにお金もない。しかし田舎者特有の思考が発動するのは仕方がない。それは23区内に住みたいというものである。なぜか。たとえば友人に「どこ住んでんの?」と聞かれた際にたとえば「世田谷」とか答えるとその知名度は幾分ある。ここで例えば「青梅」と答えると地方在住の人には全然わからないだろう。

つまりはクソみたいな見栄のために23区内に住みたかったわけであり、しかし東京は家賃が高い。必然的に23区のはしっこのほうに限定されてくる。そこで住まい始めたのが世田谷区、京王線千歳烏山という駅だ。急行に乗れば15分で新宿に出ることができなかなか便利なところで家賃もリーズナブルということで20平米にも満たないうさぎ小屋のような部屋に住まっていた。

 

どこかに住まうということは衣食住でいうと住ができたということで、残るは衣食。衣は問題ないのでここで食の問題が出てくる。お金が無いので自炊に勤しむしかないのだけれども、それでもめんどくさい日なんかにはどこかでちゃちゃっと食べてしまいたい。

外食というのは贅沢である。贅沢とは外食である。その際に一筋の光明だったのがせい家だ。ワンコイン。すなわち500円。もちろんそれは一番ベーシックなラーメンの値段だけれども、昨今一番安いやつでも800円900円するラーメンにおいて500円というのは大変リーズナブルな値段だった。

 

500円のラーメンなら500円の味だろうと君は思うかもしれない。否。味覚は人それぞれではあるけれども、たとえばせい家のラーメンが他店舗で750円で売られていたとしてもなんの疑問も持たないだろう。しかし家系ラーメン、ジャンルは確立しておりどの店舗でもそのベースとなる部分に大差は無い。さらに言うとせい家のラーメンは豚骨臭がマイルドなほうで、臭みが少なく好みにあっていた。「おほほ、君の舌が500円の舌なのだろう」と煽られたらその通りだと開き直るしかできないだろう。

 

とはいえ無職のおれ、仕事を探す必要がある。仕事が見つからない限りは貯金は減る一方で精神衛生上よろしくない。無職の状態での転職ならびに上京のような引っ越しはおすすめしない。地域を変えるなら異動による転勤、もしくは前もって面接に趣き職が決まった状態での引っ越しをおすすめする。

 

転職サイトに登録し、面接をいくつか行い、運が良いのか悪いのかインターネットの仕事がしたいという願いが叶ってweb会社に拾ってもらうことができた。仕事が決まった日にはお祝いとしてせい家のラーメンを食べた。贅沢である。

 

せい家 She Said

志が強く若い君はたとえば未経験者採用の際に「勉強できるならお賃金が少なくても全然良いです〜〜」というかもしれない。あるいは職を得られればお賃金は二の次で「キャリアアップのために」と振りきり提示されたお賃金を受け入れるかもしれないけれども、これはおすすめしない。しんどいだけだ。お賃金というのは残酷にいうと自分の市場価値だ。卑下して良いことなんかひとつも無いだろう。

 

たとえば東京に出てきて最初に就いた職場はお賃金が少なかった。7年たって転職もしたりして今存分にもらっているかというとそうでもないけれども、最初の職場での年収は今の半分にも満たない。逆にいうとプロパーではなく7年で年収が倍以上になったということはたいしたものかもしれない。

 

いずれにせよ上京初期は金銭的に苦しく、さらにクズという根底はなかなか治らないもので、パチンコやスロット、競馬に勤しむことに抜かりがなかったので最初から苦しい財布はさらに逼迫される。お昼はカップラーメン、夜はもやしと魚肉ソーセージを貪る日々は続く。豆知識なんだけど、毎日お昼ごはんがカップラーメンという生活を半年以上続けると勃起力が衰退することを身をもって感じたので諸兄におかれては気をつけていただきたい。

 

制作会社は多分にもれずそうだけれども、仕事は夜遅くまで続く。終電で帰ることもしばしばである。「おれなんか終電で帰ることができればうれしいぐらいさ」とブラック自慢をする君もいるかもしれないけれども、自虐はよしたほうが健全だろう。ブラックを自慢するぐらいなら今すぐ転職サイトを覗くことをおすすめする。

 

ここでせい家のメリットがひとつ光り輝く。それは営業時間が遅くまでやっているということだ。千歳烏山店では2時半まで開いており、1時を超えた終電で駅に着いても全然開いてくれている。薄給なうえに残業が多かったおれにとってはせい家はオアシスだった。砂漠の中で水が湧いている場所、疲れを癒やし、心に安らぎを与えてくれる憩いの場のメタファーだった。「Say Yeah」と「せい家」で踏めそうではないか。まさにYeahである。

 

せい家 We are

かつて千歳烏山から幡ヶ谷に引っ越し住まっていたがそこも抜かり無い。せい家は隣の笹塚にもある。駅間の距離も短く仕事帰りに右に曲がるところをまっすぐ進めばせい家だ。会社は変わっても職種は同じなので夜遅くまで仕事をすることもあるけれども、やはり遅くまで開いておりオアシスとしての役割は存分に果たされている。

 

残念ながら今住まうところのすぐ近くには無いので、チャリで帰り際に原宿店に寄るぐらいしかできないけれども、職場と家の間にはいつもせい家があったのであり、今もあり続けるのだ。東京に出てきて以来せい家はいつもそばにいてくれる。それはおれだけではないだろう。

サイトを調べてみると、経堂、原宿、烏山、梅ヶ丘、阿佐ヶ谷、高円寺、五反野、戸越銀座、武蔵小山、元住吉、新小岩、笹塚、上板橋、十条、大山、千歳船橋、下北沢、所沢、高島平、下高井戸、赤羽、三鷹、祖師谷、武蔵境、蒲田、柏、平井、ひばりヶ丘、下総中山、仙川、川越、三軒茶屋に店を構えている。

 

たとえば家と職場でもいいだろう。もしくは君の家とステディの間でもいいだろう。君と何かの間にいつもせい家はあり、オアシスとなりうるのだ。

 

せい家、マイ・ラブ。

ぜひ一度500円玉を握りしめて行ってみてはどうだろうか。

 

おれは昨日食べたから今日はいいや。