9回裏最後のバッターの最後の一球を、客席に向かって投げてそのままマウンドからピッチャーが消えてくようなブログ

平日は1000〜2000文字ぐらい、土日は4000文字ぐらい書きますがどちらも端的に言うと20文字くらいに収まるブログです。

40分後の蛍の光は窓の

渋谷神山町にあるベローチェはガラス張りで、どしゃぶりの雨が降る様を眺めている。空はチカチカと光り、カミナリもゴロゴロと鳴り続けている。twitterを眺めていると雹が降っている場所もあるようだ。傘を持たない人はかばんを頭の上に持ち上げ小走りで奥渋の方向に急いでいる。

 

会社の目の前に公園がある。大きくはないけれども、桜が何本か連なっていて花見をするには十分な公園だ。仕事を終えて会社にあるレジャーシートを持ち出し「今日から夜桜開幕じゃい!」と意気揚々と会社を出たら空にはカミナリが鳴っていた。まだ雨は降っていないけれどもまもなく降り始めるだろうと踏んでおれ、レジャーシートを会社に持ち帰る。

 

アメッシュを見てみると新宿方向いは緑や赤がプロットされており、土砂降りな様子が伺われる。新宿方向へ帰るおれ、やまない雨は無いさとチャリをこぎはじめたところ、渋谷辺りでポツポツと降り始める。

 

これは勝負、戦いである。自転車通勤しているおれ、雨が降る日には当然電車に乗るのだけれども、今日は勝負をしかけている。電車で帰らずに自転車で帰るという戦いだ。相手は例えるなら天。自然。世界。そういうものだろう。しかし、やみくもにチャリをこいでも原宿近辺で土砂降りに合うのは目に見えている。雨の中傘もささず泣きながら自転車を漕ぐ姿は想像に容易い。

 

勝負を二段階に分ける。その分岐点をこの渋谷ベローチェとした。ベローチェで雨をやりすごし、新宿方向に帰るという算段だ。つまりは渋谷ベローチェに至るまでに雨が降り始めたらおれの負け、降る前にたどり着いたらおれの勝ちだ。ベローチェに着くやいなや雨が降り始めて、あっという間にどしゃぶりになっている。230円のカフェオレを飲みながらガラス張りの壁、どしゃぶりの雨が降る様を眺めている。そのまま夜桜を決行していたら花に嵐のたとえどころかガチで花に嵐になっていたのかもしれないし人生をさよならしていたのかもしれない。この勝負はおれの勝ちだ。

 

カフェオレを飲みながらこのブログをカタカタと書いている。二戦目は現在進行形であり、勝負の行方はわからない。ベローチェは23時に閉店時間を迎える。22時55分には蛍の光が流れ始めて早く帰れ的な雰囲気を醸しだしてくる。蛍の光は別れの歌だ。蛍や雪の光で本を読む日々を重ねていくといつの間にか何年も時が流れて今朝、扉を開けてと別れていくのだ。蛍の光を背に、自動ドアを開けたところで目の前に雨が降っていれば負けで、止んでいればおれの勝ちだ。

 

外はまだ雨が降っている。アメッシュを眺めると雨が降っているエリアが徐々に南下しているのが見て取れる。新宿区の北半分はすっかり雨もやんでいるようだ。雨雲が南に進むスピードと蛍の光がせめぎあう。45分後の蛍の光は窓の何になるだろう。

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