9回裏最後のバッターの最後の一球を、客席に向かって投げてそのままマウンドからピッチャーが消えてくようなブログ

平日は1000〜2000文字ぐらい、土日は4000文字ぐらい書きますがどちらも端的に言うと20文字くらいに収まるブログです。

歌舞伎町で何しているか話すなんて野暮よ

いつだったかも忘れたある日の話。

仕事を終えて歌舞伎町のバーでひとりビールを飲んでいると、隣に女の子が座った。

 

バーカウンターのスタッフと饒舌に話す黒髪の彼女。

明るくへんてこな口癖を持つ彼女とはいつのまにかスタッフも交えて話すようになっていた。

清楚なかんじの若い女の子で、話すうちにその女の子が20歳になったばかりだったということを知った。

 

「学生さんでもしてんかいな」

 

というのはふと出ただけであって、まぁもし学生ならどんな勉強してるかとか話してみるのもおもしろい。

そんなかんじでなんとなく出た言葉。

 

今思うとそれはひとつのマウンティングだったのかもしれない。

君は学生だ。そしておれは社会人だ。

君はまだ何も知らない。おれは君よりは幾分いろんなことを知っているだろう。

そう思うと大変自分のクズさがにじみ出ている。

 

そんなクズなおれを見透かしたように彼女が言ったのは、

 

「歌舞伎町で何しているか話すなんて野暮よ」

 

間違いない。 ここは歌舞伎町でいろんな店があっていろんな人が来る街だ。何をしているかというのは関係ない。

隣の人がヤクザかもしれないし社長かもしれないしおなじようなサラリーマンかもしれない。 エロいナースかもしれないし久しぶりに陸に降りた海上自衛隊員かもしれないしワケあり妻かもしれない。 教え子とデキてる大学教授かも知れないし会社のお金を横領している経理課かもしれないし一途なバンドマンかもしれない。 そんなことは関係なくお酒を飲み話すところがバーであり歌舞伎町だ。

もし本当に、君に興味がある、もっと君のことを知りたい、というのであれば、LINEでも交換して会う約束を取り付けて歌舞伎町の外で会ってその時に話せばいい。

 

もしも君が歌舞伎町で飲んでて、誰かに「何をしてる人?」と聞かれたなら、その時は「歌舞伎町で何しているか話すなんて野暮だぜ?」って言ってみるのはどうだろう。