原宿が眠るその瞬間にロリィタの君は
火曜日というのは一週間の内で一番仕事がつらい曜日だというと肯定してくれる諸兄もいるだろう。
これは何も仕事に限らず大学でも同じようなものだ。つまりはウィークデイ、土日が休みで平日に社会活動をしている場合には当てはまる。
と言うと君はスカウトの前で饒舌に話すブスのような表情で「いやいや、月曜日でしょうが。日曜日の夜たるやその絶望は例えるなら峰、例えるなら海溝。あまりにも高くそびえあまりにも地の底まで深いだろう。その絶望は月曜日になってしまったところで引き継がれ、ちょっとやそっとじゃ回復することのできない致命傷である。」と言うかもしれない。
この意見に対しては半分肯定で半分反論だ。というのはおれの場合、月曜日にはもう開き直っている状態になっている。仕事はもうやむなしとこなすしかない。 そのかわりといってはなんだけれども、月曜日の夜こそ飲まないとやってられないのは間違いない。
月曜日に飲まない男は童貞。 pic.twitter.com/dtBdNYD85e
— くれ えいぞう (@Eizo0000) December 7, 2015
火曜日というのが休みから一番遠い気がする。 曜日的には水曜日なのだけれども、過去の休みとこれからの休みでは比重が異なり、心理的にちょうど中間地点が水曜日の早朝ぐらいではなかろうか。 水曜日を迎えるころには次の休みまでの距離が近づいている気がする。 つまりは火曜日が一週間の中で一番つらい。
今日は火曜日だ。 ちょっと落ち着いたかなと思ったらまたいろいろ込み入ってきた仕事はもう明日でいいやと投げ出す。 さて新宿で一杯飲んで帰ろうかと思ったけれどもその前にしないといけないことがある。
ブログだ。
このブログを書くことを日課と定めている。 というのは何もおれは文章を書くのが好きで好きでたまらないってわけでもない。あわよくば何か奇跡が起きてこのブログが流行ってたくさんの人に見られるようになってチヤホヤされたらいいなぁと思う一心だ。
継続は力。すぐに辞めてしまうのもよろしくない。三日坊主のおれの割にはわりかし続いている。 今日もブログを書かないといけない。いつかチヤホヤされるために。
さて、ブログを書くというと何を書くのかを決めなくてはならない。
でも何も書くことが無い。おれには何もないのさ。こんなに何もない1日があって良いものかと思うぐらいに何もないけれども、それはもしかしたら君も同じなのかもしれない。そうであってくれよ。今日一日を通してちょっとしたハプニングもなければ暖めていたネタも無い。 ってことで自転車で職場がある恵比寿から新宿まで移動している最中にぼんやり考える。
恵比寿の駐輪場から自転車を取り出す。2月の夜は寒い。5年ぐらい前に付き合っていた元カノにもらったビームスの手袋はまだ現役だ。 自転車を漕ぎ出し明治通りに出る。恵比寿から新宿まではただこの明治通りを進むだけ。ただひたすらにまっすぐに。
渋谷に近づくに連れて明るさが増してくる。渋谷ウインズ手前辺りから居酒屋や食べ物屋さんが並びだし街は一斉に活力を得る。通りには仕事を終えたサラリーマンや大学生達が飲み歩き、キャッキャウフフとそれぞれ楽しい時間を過ごしている。なんかハプニングでも無いかしらと自転車を漕ぎ続けるけれども特にネタになりそうなこともなく自転車は進む。
渋谷と原宿の間はいわばハンドルの遊び部分のようなもので暗く活力を隠すけれども、また原宿が近づくにつれて街は動き出す。 0時を越えるような時間になると原宿は完全に沈黙する街だ。22時ぐらいがちょうどボーダーだろう。たとえば「原宿が眠るその瞬間にロリィタの君は」というタイトルで書いてみようか、と考える。無理だ。すぐに書けるようなネタではなく取材が必要だ。今日のネタに困っている者が明日のための取材などできるわけもない悪循環だ。
原宿を越えるとそこはもう闇。代々木近辺に言っても吉そばと共産党の建物があるぐらいで北参道や千駄ヶ谷あたりの住宅街。 新宿まで何もないその深い闇の中を自転車で漕ぎ進み考えに集中する。
歌舞伎町。
カフェアヤがあった区役所前のカフェは今はピザーラのカフェになっている。 ネタが無いままブログを書く場所に着いた。電源もあり喫煙室もある。椅子が固いことを除けばなかなか捗る店だ。 店に入りコーヒーをオーダーして喫煙室に入る。ネタはまだ無い。
ネタが無いと言ってもとにかくなんでもいいからアップするのがやはり継続。ええいままよとmacを取り出しエディタを起動する。ネタはまだ無い。さて何を書く。 書くことが何もない。隣の席ではスカウトとスカウトの前で饒舌にしゃべるブスがいる。それはネタにできるか。できない。早くおしまいにしてお酒を飲みたい。何を書く。何も出てこない。頭がクラクラしてくる。wimaxを持ってきているとはいえインターネットに逃げこむと無駄な時間が伸びるだけだ。さてどうする。何ができる。とりあえず思い浮かんだ事を打ち込んでみる。
「火曜日というのは一週間の内で一番仕事がつらい曜日だというと肯定してくれる諸兄もいるだろう」